社会福祉HERO’S

福祉体験をすることが当たり前の社会にしたい! インタビュー 学生起業家 鈴村萌芽さん

先輩・同僚インタビュー

執筆者 もりわーわ 2022.10.17

 

株式会社musbunは福祉体験のマッチングサイトを運営している会社です。代表は現在大学4年生の鈴村萌芽さん。メンバー13名と一緒に熱い想いで会社を運営しています。今回は鈴村さんにmusbunを立ち上げたきっかけや、福祉に対しての想いについて、「ひとりひとりが社会福祉HERO’S」編集長の山田英治がインタビューしました。

(文責 :もりわーわ)

—musbunはどういったサービスですか?

福祉体験のマッチングサイトを運営しています。musbunでは福祉施設などが学生向けにボランティア・インターン・アルバイトの募集をし、それを見た学生がやってみたい内容について応募する、という福祉体験のマッチングを行っています。

—ビジネスモデルはどのようなものですか?

登録をしていただいている福祉施設からの年間掲載料で運営していますが、それだけでは事業維持が厳しいことも見えてきたので、メンバーとビジネスモデルをこれからどのようにしていくのがいいか考えています。

 

—鈴村さんはいま、学生とお聞きしましたが、会社を立ち上げたきっかけは?

「おじいちゃんおばあちゃんに恩返ししたい」ということが原点にあります。自分が田舎で育ったので、自分のおじいちゃんおばあちゃんだけでなく、近所のおじいちゃんおばあちゃんも地域の子どもたちのことをすごく親切にしてくれて。自然に「いつか恩返ししたいなー」と思ったのがきっかけです。大学をどうしようかと考えたときに、おじいちゃんおばあちゃんとは食に関する話題が多かったなーと思い、食で恩返ししたいと考え、管理栄養士の資格がある大学を選びました。

在学中、いますぐ何かできる恩返しはないかと考えたとき、ボランティアならすぐにできると思い、高齢者施設のボランティアに参加しました。それが福祉との出会いです。

—ボランティアで福祉の現場に入ったときの印象は?

福祉の現場に入るのはハードルが高いと思っていたのですが、「こんなに(利用者さんと)かかわらせてもらえるんだ、こんなに面白いんだ!」と思いました。

ボランティアの際、おばあさんと一緒に行った花見で、いろいろお話を聞かせていただいて。世代が違うから、資格も何もないから、学生の私はただ話を聞くだけだったのに、帰り際に私の手をしっかりと握って、涙ぐみながら「また来てね」と言ってもらえたときに、福祉ってなんて素敵な仕事だろうと感じました。

—1日過ごしただけで涙を流して喜んでもらえる。うれしいですよね。起業の原点はそこですか?こんなに面白い福祉と、まだ知らない学生との接点をつくりたいと?

そうですね。福祉と学生とを繋ぐ仕組みをつくりたいです!

—立ち上げメンバーは?

学生13人でやっています。私は女子大ですが、みんないろんな大学・学部、いろんな学年の人たちがいるので、多様な意見があって面白さを感じています。

 

—具体的にはどんな学生がいますか? 

福祉系の学部から理系の学生までいます。福祉学部の学生は、私の想いに共感してくれて、どんどん福祉体験、広めていきたいよね、と参加してくれています。理系の学生は、もともと社会問題をテクノロジーで解決したいと考えていて、福祉の人材不足を解決したいという思いで参加してくれています。そのほかには新しいことに挑戦したいと思っていて企画に携わりたいと思ってくれた学生。みんなに共通するのは「福祉体験を学生に広めたい」という私の想いに共感してくれているということです。ありがたいことです。

—システムをつくれる方もいるってありがたいですね

アフリカのトーゴ共和国から来ている学生が担当してくれています。私よりも日本語上手ですね(笑)。その子だけでは大変なので、IT会社と組んでシステムの開発をしてくれています。

—いま、登録している学生や参加している企業はどのくらい?

現在musbunへ登録してくれている学生は300名ほどです。いまは名古屋中心の愛知の学生がほとんどですが、ほかの都道府県の学生も登録してくれています。施設さんは40施設ほどが登録してくれています。

—musbunのロゴは何を意味しているの?

ゾウは私が一番好きな動物で、どうして好きかというとゾウは陸上のなかで一番優しい動物だと思っています。仲間・家族想いで、みんなが助け合って生きている。例えば川を渡るときに小さいゾウをみんなが囲って渡っている。福祉も一緒だと思っています。2頭のゾウのうち黄色が学生、緑色が福祉を表しています。

 

—現在のmusbunの状況は?

学生へのアプローチに力を入れています。福祉の授業の冒頭に案内を入れてもらったり、学校連携を行ったりしています。学校連携は現在2校に契約してもらっています。

口コミで広げてもらったりしていますが、福祉学部系の方は興味をもって、その場ですぐ登録をしてくれますが、それ以外の学部の方はなかなか難しいですね。

—福祉系以外の学生のアプローチで工夫していることは?

最近は施設の募集項目で「介護福祉施設の栄養レシピを学生のみなさんで考えてください」というような企画がありまして、そういった募集は、栄養士をめざしているような学生には、響きますね。施設でのレシピ企画って面白そうって手を上げてくれます。最近はツイッターにも力を入れています。

—現在の課題は?

学生にmusbunをどう広めるかを悩んでいます。最近は、学校の授業の一環としてmusbunを活用していただけることが増えてきたので、今後は学校連携にも力を入れていきたいです。

—福祉の授業としてmusbunを活用するって可能性ありそうですね?

福祉学部だと、実習(施設など)があるのですが、福祉を知らない学生がいきなり実習はハードルが高いので、実習に行く前に福祉体験をしてもらう。その際にmusbunを使ってもらってボランティア先などを探してもらうようにしています。

—いま、中学生の技術家庭科の学習指導要領に福祉・介護体験が入っていますよね。にもかかわらず学校の先生はどこで体験授業をやっていいのか、どこに頼めばいいのかがわからない。その意味で、全国の先生たちと結べると、もっと広がっていきそうですね?全国の社会福祉法人も学生とつながりたい、学校側もつながりたい!そこを結ぶん(musbun)できるといいですよね?

はい、結ぶん(musbun)したいです(笑)。今後は、福祉の魅力を発見したり、発信するお手伝いもさせていただきたいと思っています。musbunを運営する過程で蓄積されたノウハウを活かして学生目線で施設に対して、魅力発信のアドバイスをしていければいいなと考えています。具体的には、musbunメンバーが福祉施設を取材させていただき、その施設の魅力をブログで発信するWebメディアを立ち上げる予定です。

—福祉業界は広告部とか広報部がないところがほとんどなので、それを担える提案、サービスが提供できるといいですね。

musbunでSNSの発信やチラシのデザインを募集している施設もあります。普段は福祉に興味がない他学部の学生でも、福祉を前面に出さない募集だと、興味をもってもらえるのかなとも思っています。

—鈴村さんから見て福祉に対して興味をもってる学生って多い?

正直、そんなに多くはないです。でも増えてきている実感はあります。いまの学生たちは、誰かのために働きたいと思っている。そのなかに福祉が含まれている。福祉への道に入るちょっとしたきっかけがあるといいと思っているので、その懸け橋にmusbunがなれるといいなと思っています。

—これからについてどのように考えていますか?

いまは休学中ですが、大学に復学してきちんと卒業し、卒業後もmusbunを続けていきたいと思っています。

ほかの学生メンバーは別のところでの就職を考えているようですが、うれしいことに「外で働いてから、力をつけてまたmusbunにもどってくるね」って言ってくれています。トーゴ共和国からきている学生メンバーはmusbunと自分のシステム会社両方を仕事にしていってくれる予定です。

今後は新しい学生にも入ってもらって常に学生目線のサービスをつくっていきたいです。いま利用してくれている福祉施設を大切にしたいので、学生を集めることに集中しています。

—最後に、鈴村さんはmusbunの事業を通じて、どのような社会にしていきたいですか?

私は福祉体験することが当たり前になる社会をめざしたいと考えています。福祉学部に入っている学生にどうして福祉の道に入ったのか聞いたら、「小学校のときに合唱部に入っていて、たまたま老人ホームに合唱する機会があって、おじいちゃんおばあちゃんのやさしさに触れた」とか、「中学校の職場体験で、たまたま福祉の現場に行くことになったのだけど、やってみたら面白かった」とか、ほんとにちょっとしたことが福祉学部に入るきっかけになっているので、学生のうちで福祉体験をぜひしてほしいと思っています。そして福祉に関わるすべての人を笑顔にするのが目標です。

—福祉の魅力を発信している社会福祉HERO’Sとも、めざすところは一緒だと思います。今後また何かご一緒させてください。本日はお時間ありがとうございました。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

 

musbun公式サイト

ロゴをクリック!

https://www.musbun.jp/

もりわーわ
愛知県社会福祉法人ひまわり福祉会 杜の家
生活支援次長 看護師

看護師として8年間大学病院で勤務後、縁あってひまわり福祉会で仕事をさせてもらっています。
看護・介護両方を経験し、介護の奥深さ、面白さを実感しています。もっと自信をもって介護が素晴らしい仕事なんだということを、いろいろな人に知ってもらい、感じてもらいたいと思ってます。
反抗期真っ只中の息子3人と日々戦いながら、利用者さんに癒してもらっている毎日です。
ひまわり福祉会はワークライフバランスを大切にし、また地域に根付く法人をめざし、よりどころサポート事業に力をいれています。笑顔あふれる福祉会です。一度ぜひのぞきに来てください。

看護師として8年間大学病院で勤務後、縁あってひまわり福祉会で仕事をさせてもらっています。
看護・介護両方を経験し、介護の奥深さ、面白さを実感しています。もっと自信をもって介護が素晴らしい仕事なんだということを、いろいろな人に知ってもらい、感じてもらいたいと思ってます。
反抗期真っ只中の息子3人と日々戦いながら、利用者さんに癒してもらっている毎日です。
ひまわり福祉会はワークライフバランスを大切にし、また地域に根付く法人をめざし、よりどころサポート事業に力をいれています。笑顔あふれる福祉会です。一度ぜひのぞきに来てください。

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