社会福祉HERO’S

「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」プレゼンテーターに学生ライターが会いに行った! 連載③ 弘和会 宮中経助さん『自然栽培と福祉で誰もがWINな社会へ』

編集部ニュース

2019.11.25

社会福祉の現場でさまざまな挑戦をしている若手スタッフたちが登壇するイベント「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」(12/10開催)に登壇する7人のプレゼンテーターに学生ライターが密着取材。その第三弾は、国際基督教大学の西谷美香さんが社会福祉法人弘和会(石川県)で働く宮中経助さんに会ってきました。

西谷 美香さん

国際基督教大学1年。趣味は、映画鑑賞と旅行することが好きです。学校で学問的に学んできた社会問題について、実際に自分の目で見て現場を知りたい!という思いから、ソーシャルステイに参加。「書かせていただいた記事が、宮中さんの素敵な取組について知っていただくきっかけになり、力になれればと思っています!よろしくお願いします!」

大空の下で西谷さんから取材を受ける宮中さん(右)

障がい者の雇用と農業における課題。この二つの問題に向き合いながら、地域全体を明るくする、そんな素敵な取組があるのをご存知ですか?障がいのある方がたが働くためには、人びとの理解が必要不可欠です。農業をツールとして、障がい者も高齢者も子どもたちもみんなが自然と支えあう社会を目指して活動するヒーローのひとりにお話を伺いました。(西谷 美香)

石川県羽咋市と輪島市を拠点に活動する社会福祉法人弘和会。そこが経営している施設「村友」では、農福連携を通したまちづくりを展開しています。

高齢者、障害のある人、職員さんがともに支えあって働く

「村友が一つの家として見てもらえるようになればうれしいです。地域で、例えば高齢者や障がいのある方が住み慣れた場所で、ともに支え合って生活することが当たり前にできる社会を目指しています。その実現への一歩として、自然栽培を中心に障がいのある方がたに『働く練習』ができる場を生み出しています」――そう話すのは、弘和会の宮中経助さん(39)です。

「村友」は、6名の職員さんと合計13名の利用者さんがいますが、利用者さんの人数は日によって異なります。利用者さんの年代は幅広く、10代の方もいれば、定年後にお仕事を続けたいと思って通われる方もいるそうです。また、同じ建物の中では、高齢者の方が主に使われる「シェアハウス」、ボランティアの方が行う「地域支え愛(あい)倶楽部(くらぶ)」、そして「病後児保育スペース」もあるため、高齢者の方や子どもたちが交流できる空間が自然とできていました。

地元を離れて気づいた野菜の力が原体験

宮中さんは、石川県を離れて仕事をしていた際に、地元から送られてきた野菜に力をもらい、あらためて地元の魅力に気づいたそうです。その経験から、地域に何か貢献できないかと考え、福祉の仕事と地元の自然栽培技術を融合させ、農福連携に携わるようになったといいます。

実際に、宮中さんの取組の中心となる自然栽培というのは、羽咋市が市をあげて取り組んでいる農薬も肥料も使わずに作物を育てる栽培方法のことを指します。「村友」では、自然栽培を取り入れて、米と大豆とさつまいもを主に栽培しています。

オレンジ色の中身が特徴の幻のさつまいも「兼六」

自然栽培は、除草剤などを一切使用しないために、雨や地形など、自然そのものと向き合い農業をする必要があり、宮中さん自身も学んだことが多かったそうです。

「自然栽培と福祉は共通するところがあります。例えば自然栽培では、草や虫が共存する必要がありますが、これは福祉でも同じで、障がいがあるから、高齢者だから、といって一緒は難しいと決め付けるのではなく、共に暮らしていく方法を見つけていけばいいんです」(宮中さん)

農業における課題の一つは、耕作放棄地です。担い手がいなかったり、水へのアクセスが困難であったり、大きな機械が入りにくかったりなど、作業することが困難な土地の多くは手つかずの状態になっています。そこで「村友」では、活動をしなければ耕作放棄地になってしまう土地を譲り受け、機械が入れない場所は手作業を行うなどで作物の栽培を行っています。

収穫も近い大豆畑

一方で、三年前に自然栽培の活動を始めた当初は困難もあった、とのこと。

「はじめから信頼を得ていたわけではありません。信用なしには土地も貸していただけない。回数を重ね、それなりのものを作っていくうちに、実績がつき認められてきたように感じます。僕らが活動をしなければ耕作放棄地になってしまうという思いで、農業を行い、辛いことも楽しいことも一緒に行うことで、地域とのつながりが深まるのではないかと信じて粘り強く活動を続けてきました」

耕作放棄地の削減に貢献すると同時に、農地の周辺の草刈りやゴミ拾いなどの活動も積極的に行っています。こうした活動を続けることで、「この土地も使って欲しい」と声をかけてくださる地域の方が増えてきたといいます。いまでは農地は、毎年二倍、三倍と増えています。

農作業だけでなく、袋詰めも自分たちで

障がいのある利用者さんたちが仕事をする上で、「働くことに慣れること」、「新しいことを身につけること」が一番の課題だといいます。そのため、利用者さんが楽しく、そして長く続けられるようにサポートをしています。

農作業というと、力仕事の印象が強いかもしれませんが、「村友」で行われているお仕事は、農地に出て行う収穫作業だけではありません。育てた作物を使った加工食品も販売しており、商品の袋詰めなども利用者さんが仕事として従事しています。

自然栽培で作られた大豆を使った甘納豆「大地の想い」

「得意な作業は本当に人それぞれなんです。農作業は好きではないけど、例えばこの箱を組み立てるような几帳面な作業が好きな利用者さんもいるんです」(宮中さん)

「草の匂いと音が、農業の魅力」

「家にいることが多く、話しかけても反応の少ない利用者さんがいました。その方が、草むしりなどの作業を始めたことで、抜いた雑草が山になった頃に『これどうする?』と聞いてくれたんです。そうやって少しずつ話しかけてくれるようになった時、農業の素晴らしさを感じました。はじめはフレーズだけの会話だったのが、回数を重ねるごとに『◯◯さんおるけ〜?』と言ったり、方言を使って冗談を話したりしてくれるようになったのが嬉しかったですね」

自然栽培をする大豆畑にて、宮中さん

「農業は、一人ではできないんです、農地に行ってみんなと作業をしなければいけないんです。作業を通して彼に変化が見られたように、草をちぎれば匂いと音がして、その五感をフルに使う感覚が農業の魅力だと思います」(宮中さん)

「今まで学校生活や日常生活の中で障がいのある方っていたと思います。それくらい身近なことだからこそ、受け入れる側である地域や私たちの意識を変えていきたいんです。僕たちは、それを自然栽培の活動を通してできたらいいなと思っています。時間はかかるかもしれないですが、少しずつ広がればいいなと思っています」

地道に継続してきたことで、活動を知ってくださる方も増え、利用者の方とともに作る商品の幅も広がっている「村友」。今後は、活動をより多くの人に知ってもらうとともに、活動に共感し、協力していただける方を増やして、理想とするまちの実現に向けて活動していきたいと宮中さんは前を向きます。

今回取材した宮中経助さんが登壇!12/10(tue)東京渋谷ストリームで開催!「社会福祉HERO’S TOKYO 2019!」

☆☆詳細・観覧お申し込みはこちらから☆☆

http://www.shafuku-heros.com/news/event2019-3/

 

*この記事は、(株)社会の広告社とオルタナSが実施した企画「ソーシャルステイ」に参加した大学生が執筆しました。ソーシャルステイではソーシャルイシューの現場を大学生に体感してもらい、記事を通して発信してもらいます。

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