社会福祉HERO’S

「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」プレゼンテーターに学生ライターが会いに行った! 連載⑦南山城学園 佐藤走野さん『福祉の力で地域コミュニティを強く、しなやかに』

編集部ニュース

2019.11.28

社会福祉の現場でさまざまな挑戦をしている若手スタッフたちが登壇するイベント「社会福祉HERO’S TOKYO 2019」(12/10開催)に登壇する7人のプレゼンテーターに学生ライターが密着取材。その第7弾は、立命館大学の一瀬優菜さんが、社会福祉法人南山城学園(京都)で働く佐藤走野さんに会ってきました。

一瀬 優菜さん

京都出身、大学三回生、国際経営を専攻しており、サスティナブルやエシカルな開発、環境経営に関心があります。大学生活では国際協力団体に所属し、カンボジアへの教育支援をしています。私の人生理念は「みんなのきっかけになり、解決の一部になる」ことです。私が学生記者となることで、より多く人に社会問題に対する知見ときっかけを与えられればと思い、応募しました。

一瀬さん(右)からの取材に、「福祉に携わることなら何でもします」と話す佐藤走野さん(左)

みなさんは「誰にとっても生きがいのある世の中」を考えたことはありますか?少子高齢化が進む日本社会では、地域コミュニティの強さは、生活の豊かさだけでなく、自然災害時の対応にも影響します。どのコミュニティにも乳幼児や高齢者、障がいのある方などが共存しています。地域に住むすべての人たちに、より良い生活環境と「信頼」を提供し続けるヒーローに話を聞きました。(一瀬 優菜)

南山城学園は京都のJR城陽駅から少し離れた、自然豊かなところに位置する

京都府城陽市を拠点とする社会福祉法人南山城学園(みなみやましろがくえん)。ここでは、乳幼児や高齢者、知的障がいのある方などを対象とした多くの事業を経営しており、その事業所数は38か所にもおよびます。

「私は、幼少期から20歳まで児童養護施設で過ごしました。自分の成長に寄り添ってくれた『社会福祉』に対し、恩返しがしたい。何でもします」――そう話すのは、南山城学園 障害者支援施設 魁(さきがけ)の佐藤走野(そうや)さん(32歳)。

佐藤さんが所属している「魁」では、障がいのある方がたが「地域で働きながら暮らすこと」を目標に、就労スキルの向上や仕事をするうえでの責任感について学び、やりがいにつなげる支援を行っています。この施設には、就労を希望する障がいのある方60名が入所され、約20名の方が通所などにより支援を受けられています。

障害者支援施設「魁(さきがけ)」の建物、南山城学園 公式ホームページより参照

「魁」では、ADL(日常生活動作)低下予防プログラムでニーズに寄り添った支援活動を行います。「生きがい」を「働くこと」によって生み出せるよう、施設利用者の個別ニーズに合わせた活動内容と仕事環境を提供しています。他にも、子ども食堂による共生共助の地域づくりや、就労継続支援B型の平均工賃の向上を目指した支援などの取組を行っています。

「できないところを見ていても仕方がない。その人の優れたところが、もっと優れるような環境を提供したい」と話すのは、佐藤さんと一緒に働くスタッフのFさん。

地域との共生共助を育むため、ほかにもさまざまな事業を展開しています。障害者支援施設「凛(りん)」では、「定番の活動を見直し、日中活動を充実させること」を目標にしています。施設利用者の「仕事がしたい」という気持ちに応えるため、働く場として、農地やカフェを展開しています。地域で育てた無農薬野菜をカフェに卸したり、京都市内や各所マルシェなどで販売したりしています。

 6種以上の野菜を育てる農地、南山城学園から少し離れたところに位置している。農業の他に、肥料作りや、野菜を卸すための品質分けなどを行う

カフェ「ぷちぽんとkitchen+farm」、平日のお昼であったにも関わらず、予約が必要なほどの大盛況

これらの支援活動は、人と人との相互関係の上で成り立っています。佐藤さんは、施設利用者と向き合うなかで大事にしていることがあります。それは「理由を説明すること、理由を聞くこと」。

施設利用者にとって、自分の行動の「なぜ」を知ることや、それを他人に知ってもらうこと、そして話を聞いてもらうことはとても大切です。佐藤さんの今までの経験から、大切にするようになったといいます。

佐藤さんは、実践的に利用者の方とも向き合っています。

施設内で、水中毒になってしまうほど水をたくさん飲んでしまう利用者の方がいました。「水の飲み過ぎはダメ」と言葉で伝えても、なかなか改善しません。そこで「可視化」を取り入れます。その方はご家族とのお買い物が大好きでした。水を飲みすぎると、病院に行かないといけなくなる、だから大好きなお買い物に行けなくなるよ、という一連の流れを写真とともに可視化できるようにしました。

すると、それからは水の消費量が大きく変わったそうです。「ダメなことを伝える」だけでなく、「なぜダメなのか」をその方にあった方法で説明する。施設利用者の一人ひとりに向き合って考え抜かれたことが分かります。

さらに佐藤さんは、京都府災害派遣福祉チーム「京都DWAT」として、自然災害時に障がいのある方などへの支援活動も行っています。「自然災害が起こった際、障がいのある方への配慮はまだまだ十分ではない。実際、避難所で生活が難しいと判断し、壊れかけの家にそのまま住まれている方もいる」(佐藤さん)。

実際、過去に熊本や岡山で災害があった際、障がい者や高齢者の避難所内での生活改善支援や相談所の運営などの活動をされています。

京都府 公式ウェブサイトより参照 

佐藤さんの社会福祉との向き合い方について聞いてみました。

「僕にできることで、福祉に携わることなら何でもします。その気持ちは今でも変わらない」。この思いは入職当初からのものです。

佐藤さんのモットーに「山より大きな猪は出ない」という言葉があります。この言葉は、「生きている間に出会う問題や課題は、いくら難しくても、解決できるものしか来ない。だから前向きに進もう」という意味です。社会福祉という大きい分野に対して、「何でもする」と大きく構える姿は、その言葉そのものであると感じます。

 

 

今回取材した佐藤走野さんが登壇!

12/10(火)東京渋谷ストリームで開催!「社会福祉HERO’S TOKYO 2019!!」

☆☆詳細・観覧申し込みはこちらから☆☆

http://www.shafuku-heros.com/news/event2019-3/

 

*この記事は、(株)社会の広告社とオルタナSが実施した企画「ソーシャルステイ」に参加した大学生が執筆しました。ソーシャルステイではソーシャルイシューの現場を大学生に体感してもらい、記事を通して発信してもらいます。

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