社会福祉HERO’S

社会福祉HERO’S TOKYO 2020 プレゼンテーター インタビュー②

編集部ニュース

2021.04.26

社会福祉HERO’S TOKYO 2020の開催まであとわずか。そこで当日登壇する、全国7つのブロックから選ばれたプレゼンテーターに、当日への意気込みを語っていただきました。

今回は東海・北陸ブロック代表、特別養護老人ホームの生活相談員の瀧 勇士さんです。

(聞き手:ひとりひとりが社会福祉HERO’S 編集長 山田 英治)

 

福祉×ICT

ご利用者のQOL(Quality of Life)を上げていく

【東海・北陸ブロック代表】瀧 勇士(たき ゆうじ)さん

 

福祉の全国大会スピーチ経験者として

胸を張って臨みたい

 

山田編集長(以下、編集長):まずは、ご自身のプロフィールからお聞かせください。

瀧:社会福祉法人福寿園「特別養護老人ホームくすのきの里」で働いている瀧勇士、32歳です。現在は、施設を利用するご家族と施設をつなぐ生活相談員をしています。

編集長:イベントへのエントリーのキッカケはどんなことでしたか?

瀧:施設長から「社会福祉HERO’S TOKYO 2020」について聞いて、参加を勧められたんです。でも、決して上司からいわれたから参加をしたという動機ではなく、「選ばれた」という感覚です。誰にでも声を掛けるわけではないでしょうから、施設長の思いに応えたいと思いました。「“世界の瀧”をめざせ!」なんてメッセージももらいました(笑)。といいながら、正直に申し上げると不安の方が大きいです。もともと話すのが得意ではなくて・・・緊張します。ですが、実は2年前から「福祉QC(クオリティコントロール)活動」(福祉サービスの質の向上や均質化を図るため相互啓発、および研鑚を図る活動)に取り組んでいて、その活動のなかで全国大会でスピーチをしたことがあるんです。人前で話すのはなかなか慣れませんが、当日はスピーチ経験者として胸を張って介護について発信したいと思っています。

利用者と家族の不安を取り除く。

相談員としての使命。

 

編集長:次に、特別養護老人ホームでの相談員というお仕事内容についてお聞かせください。

瀧:はい。私が現在している生活相談員の仕事は、施設のご利用者の家族と施設のスタッフとをつなぐ仕事です。日々の業務では、ご利用者が施設内で怪我をしてしまった時の連絡や、家から施設へもってきてほしい物についての連絡など、幅広く対応しています。また、新しく入居される方の最初の窓口としての役割も担っています。

実は、私はもともと、ご利用者に対して「どのように介助するか」を示す手順書などをつくるケアマネージャーという仕事をしていました。人事異動で、いまの生活相談員の仕事につくことになったのですが、ご家族の想いを聞く機会が多く、それがとても新鮮でした。ご利用者のことを想うご家族の温かさに触れ、お力添えできるように奮闘する日々ですので、直接感謝の言葉をきけるのは嬉しいですね。その一方で、現在特養は100人以上の待機者を抱えています。どなたから優先して受け入れるのか、そうしたことを検討する大きな責任も感じています。

編集長:ご利用者とご家族に最初に関われる立場は、大きなやりがいがありますね。

「夢を叶える」リハビリやICTを使った「認知症予防」で、

ご利用者の暮らしを豊かに。

 

編集長:相談員として、とくにやり甲斐を感じられる取組はありますか?

瀧:「ドリームプランプロジェクト」と銘打って、その名の通りご利用者の夢を叶える取組を進めています。こちらが決めたことを強制するような計画ではご利用者もやる気が出ません。楽しめるリハビリをつくりたい、という思いでご利用者の夢を聞き出してリハビリに落とし込んだのです。実際の実践例を挙げると「うどん屋へGO」という企画をつくりました。これは、うどん屋へ行きたいという要望を叶えたプロジェクトです。私たちにとって、うどん屋へ行くのは簡単ですが、ご高齢者の方にとってはハードルが高いんですよね。チェーン店のうどん屋さんに行き、自分の手で好きな天ぷらを取ってうどんを食べるというのが、大きな夢だったんです。そのためにリハビリの計画を立て、支援しています。

編集長:なるほど。ただリハビリしましょうというよりも、ご本人にとっての動機付けになりますよね。

瀧:はい、まさにそうなんです。この活動にはご家族も同行いただきました。活動を通して互いに名前を覚え、信頼関係が深まる。すべての人がハッピーになるプロジェクトなんですよ。

編集長:瀧さんのお仕事を通して多くの方がたに幸せが広がっていますね。ほかにも新たな取組をされていると聞いていますが・・・。

瀧:はい。施設のなかでさまざまなイベントやレクリエーションを用意しているのですが、それでも「暇だなぁ」とご利用者にいわれることがあって、でも我われ職員の数にも限界があるので、この状況を改善するためにはどうしたらいいのか、ずっと考えていたんです。そんな時に「回想フォン」というICTを使った取組に出会いました。この「回想フォン」は、自身も重度の障害を持つ佐藤仙務さんという方がはじめたものなのですが、介護施設と重度の障害がある方の自宅とを繋いでお話をします。障がい者の方たちが、ご高齢者の日々のこと、昔のことなどを聞き出すことで、認知機能を低下させないことがねらいのひとつです。それをうちの施設で導入しました。

今まで、数分ごとにナースコールを押していたご利用者が、この「回想フォン」のある日を楽しみにしていて、その時は、本当に楽しそうにお話されるんです。それによって日常が落ちつくようになっていったんです。やってよかったなと思える瞬間ですね。今後は、もっとさまざまなICTやロボットなどを導入して、ご利用者の「楽しみ」を増やしQOL(Quality of Life)を上げていけるようチャレンジしていきたいと思っています。

「姥捨山」のイメージはNO!

福祉は明るい業界だと伝えたい

 

編集長:さて、イベント当日はどんなことをみなさんに伝えたいですか。

瀧:以前、こんなことがありました。入居を希望されているご家族から相談を受けたのですが、その方から「うちの父は、老人ホームを『姥捨山』だと思っているんです。だから決して本人にはここが老人ホームだと言わないでください」といわれたことがあったんです。それはとても衝撃的なことでした。いまだに「老人ホーム=姥捨山」といったイメージをもたれる方がいるのかと。確かにメディアなどで取り上げられるときには、「虐待」とか「介護人材不足」といったようなネガティブなニュースが先行して悪いイメージをもたれてしまうのかもしれません。でも実際は、福祉の世界はもっと明るい業界です。日々、笑顔の溢れる現場なんです。それを皆さんに伝えたいと思います。これからを生きる若者たちに対しても、そして近い将来、施設を利用する可能性のある中高年の方がたにも伝えたいですね。

編集長:当日のスピーチ、楽しみにしています。本日は、貴重なお話をありがとうございました!

東海・北陸ブロック代表の瀧さんがプレゼンをする

社会福祉HERO’S TOKYO 2020は、2021年5月19日YouTubeにて生配信!

当日の生配信はこちらから!※リマインダー設定もできます。

 

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